「ご近所のムシがおもしろい!」(谷本雄治)①

硝子戸の外からの襲撃

「ご近所のムシがおもしろい!」
(谷本雄治)岩波ジュニア新書

以前、夏目漱石
「硝子戸の中」を取り上げました。
文豪・漱石が、硝子戸の内側から
世の中を見て書いた随筆です。
私は現在、硝子戸の外からの
襲撃を受けています。
攻めてくる賊は「カメムシ」。
これを書いている今も
窓辺を中心に15匹確認。
カメムシ警報発令中です。

まったくもって摩訶不思議としか
言いようがありません。
窓ガラスの外にひっついていたのに、
いつの間にかガラスのこちら側に
侵入しています。
漱石の時代の硝子戸ならいざ知らず、
現代の機密性の高いアルミサッシを
通過して室内に侵入するのですから。
10分前には確かに
硝子戸の外にいたはずなのに、
今見ると硝子戸の中に
侵攻してきています。
もしやカメムシには
ガラスを透過する能力があるのでは?

下手に駆除しようとすると
例の匂いを放出して悪臭攻撃され、
放っておけば我が物顔で
ブンブン飛び回り
うるさいことこの上なし。
存在そのものが迷惑なのに、
このカメムシが繁殖した年の冬は
大雪になるという言い伝えがある
(実際そうなるから不思議!)
ものですから、なお始末に悪いのです。

さて、ムシで困ったことが起きたときに
読むことにしているのが本書です。
折りにふれて読み返しています。
とってもおもしろい本です。

カメムシのページは…、どれどれ、
「これほど高貴な香気を出す
 ムシはいないという専門家もある」
「外国にはカメムシをつぶして
 素肌に塗りたくる部族もある」

いやあ、冗談やめて下さい。
今も部屋に漂う
この匂いが香水だなんて。

なになに、
「カメムシは自分の発するガスで
 自滅するという悲しい性の持ち主」

えっ、自分の匂いで気絶するの?
なんて残念な生き物!
ほとんど漫画の世界じゃないか!
だったら匂い出すなよ!

そして極めつけが「カメムシの調理法」。
「一晩水につけて臭みを抜き、
 フライパンで炒めて
 塩を振りかければ一丁上がり」
「カラッとしていて、実にこうばしい」
「酒飲みには
 こたえられない一品となる」

いやあ、たとえ飢えていようとも、
それだけは食べたくないです。

本書を読んで、私自身、
ムシに対する見方が
かなり変わったのですが、
カメムシだけはいけません。
一生仲良くなれそうにありません。
カメムシがいるかぎり、
漱石のように落ち着いて
硝子戸を眺めることはできません。

※それにしても、
 体長1.5cm程度あるカメムシが、
 一体どこからどのように
 室内に侵入してくるのか。
 不思議です。

(2019.10.21)

acworksさんによる写真ACからの写真

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